3D(スプリング)・パターン
3D(スプリング)・パターンとは、精緻に計算されれた型で切り出したパターンを1つずつ、また1足ずつそのラスト上でアッパーを組み上げていくというものです。この製法は、膨大な手間がかかる上に寸分のない精緻さが求められるため、その製作費が20万円を超えるような名門ビスポークと同様に、量産ではまず見ることのできないものです。
この製法に挑戦し、生産に取り入れることで私たちの靴はビスポークで仕上げたように型崩れしにくく、またラストの起伏にとんだ美しい表情をより立体的にそして正確に表現することが可能となりました。
1.マッケイ製法
3Dパターン・フルマッケイ
当店のマッケイ・シューズは、マッケイ製法には珍しく、グッドイヤー製法と同様にに粒の大きな練コルクを多く充填することで、履く人の足の形に馴染んでいきます。加えて、ヒールを後付けすることにより、アウトソール全周にマッケイのステッチを細かなピッチで縫い合わせることが可能となり、よりエレガントな仕上がりとなっています。
1足1足ラスト上でのアッパーの組み上げ、糊を極力使わない製甲、ライニングとアッパーを別々に手で吊り込むハンド・サイドラスティング…。ここでは書ききれない沢山のもうひと手間が詰まっています。
2.グッドイヤー製法
360°チャネリング・グッドイヤー
★マッケイ製法と同様に、3Dパターンにてアッパーを組み立てています。
この製法は、ハンドソーン・ウェルテッドのように4.5m/m以上の厚みの中底にチャネリング(革中底に切り込みを入れて、リブを立てる)を施し、中底全周360°にわたってウェルトと接合するすくい縫いを掛けています。
その理由として、多くの一般的なグッドイヤー製法に見られる中底にリブを接着剤で貼り付ける方法は、接着が剥離してしまった場合に「靴が崩壊」してしまう耐久性に課題があると考えたからです。
私たちは、中底そのものをリブとすることでその課題を解決し、高い耐久性を追求しました。
その基本的な構造は、ハンドソーン(手縫い)に等しいのですが、中底のチャネリング、リブの掘り起こしを専用の機械で行うことで、すくい縫いのテンションを強く、そして均等に掛けることで、ハンドソーンと比較しても頑健でバラつきのない造りとしています。
またアッパーとアウトソールを接合するウェルトには細かいピッチでしっかりと出し縫いを掛け、グラス感のある仕上がりを目指しています。
ヒールは贅沢な革積み上げ、ウェルトはアメリカ産、中底と本底は、アルゼンチン産の高級ベンズと、ハイエンドなスペックのグッドイヤーです。
もちろん「足あたりも最上のものを」という気配りも忘れてはいけません。ライニングには全面に吸湿性の良い渋なめしのカーフ(牛革)を使い、さらに本底と中底の間に粒の大きな練コルクを充填しています。
ご自身の足型にフィットするオンリーワンの靴となっていくことでしょう。